最近のMステは何をやりたいのかがわからない。
先月は週変わり企画で、デビュー10周年アーティスト特集だの、ライヴ特集(本当に生演奏で演るのかと思っていたら、いつも通り唄以外はオケでがっかり)だのと銘打って、毎回趣向を変えていた。
で、今月。
前回は米倉涼子、今日の放送では北島康介と、何故かミュージシャンではないゲストが相次いで出演。
テレ朝のドラマに出演する米倉はそのドラマ主題歌を唄うアーティストの、北島は自身の応援歌を唄うアーティスト(ちなみにジブラね)の応援で出演したとのこと。
別に私は、週変わり企画にも、彼等のゲスト出演にも何の不満もない。
ただ気になるのは、長い歴史を誇る同番組が、最近になって突然、番組の新たな方向を模索し始めたという点だ。
ここで1つ考える。
Mステが、90年代前半のいわゆる音楽番組氷河期を乗り越え、ここまで続いているのはなぜか。
理由は簡単である。
それは「歌を聴かせる」という、音楽番組として至極当然なことを徹底してやってきたからだ。
トークやランキングもあるものの、あくまで番組の基本にあるのは歌だ(関係ないけど、昔、アーティストが免許証を公開する企画があったよね)。
それ故に、視聴者のみならず出演者であるアーティストからも厚い信頼を集め(だから、地上波では他局の番組に絶対出ないようなアーティストも観られるというわけだ。今日の放送でいうならROSSOなんかがそう)、ここまで長きに渡って放送を続けてこれたのではないか。
そんな同番組が最近になり、やたらと新しい番組作りに躍起になり出した。
まあこれだけの歴史がある番組ならば、マンネリにならないようにと制作側が新たな試みを行うのは無理もないし、当然とも言える。
しかし、そうした新たな試みによって、番組の核であった「歌を聴かせる」という部分が欠落してしまっては本末転倒である。
週変わり企画はアーティストの存在が中心にあったからまだ良い。
だが前回、今回のゲスト出演に関しては、音楽というよりゲストの話題性によって視聴者の注目を集めようとしているのは明らかだ。
今後も続くと思われる、こうした試み。
しかし、それはくれぐれも「歌を聴かせる」という番組の核を失ってしまわぬよう、慎重にやってもらいたいものである。
私が最も恐れているのは、歌以外の要素を取り入れる余り、肝心の歌があまり聴けなくなってしまうことだ。
週変わり企画、ゲスト出演に限らず、ここ何回かの放送(ちなみに今日は無かった)では視聴者からFAXでアーティストへの質問を募集していたが、あれも歌ではなくトーク面で視聴者の関心を引こうとする試みなわけで、私としては歌ないし音楽そのものを核に据えるMステにとっては、別に必要ないのでは、と思う(おまけにあの質問の時に画面に出るテロップが、同局の“『スマステーション』方式”っていうのかな? 要するに、リアルタイムでテロップが出るやつで凄くウザい。だってあのテロップって、別に無くても良い感じだし)。
仮にMステがトーク主体の番組になり、その分出演アーティストが減らされることになるならば、私はそれに断固として反対だ。
なぜならMステは、新進気鋭からベテランまで幅広いパフォーマンスを観ることのできる、地上波では唯一のプログラムだからである。
というわけで、これまでMステから多くの感動と衝撃を与えられてきた私としては、これからも歌をメインにした番組作りが行われることを願って止まない。